
ZeniMax Online Studioのコンバットチームからの、ESOのクラスの未来に関する基本理念、目標、計画について詳細に語る手紙をご紹介します。
この秋の初めに、ESOのクラスのアイデンティティに関する問題点や全体的な印象などについて、皆さんにご意見を伺いました。私たちは長年のプレイヤーからのフィードバックに対応し、全体的な外見や雰囲気、戦闘のバランスを改善する取り組みの一環として、ESOのクラスを活性化する長期的なプロジェクトに取り組んでいます。
こうした変更の範囲と背景をコミュニティの皆さんに理解していただくため、私たちはESOのクラスのアイデンティティに関する目標について透明性を保つことを目指しています。デザイン哲学、ESOのクラスに関するビジョン、目標、アイデンティティの枠組み、関連する変更の導入について、以下に詳しくお伝えします。
デザイン哲学のコンセプト
ビジョンがどのように目標へつながるかを議論するため、私たちのデザイン哲学と、それを導くいくつかの重要なコンセプトをご理解いただくことは有益だと思います
クラスのアイデンティティとは?
私たちが定義するクラスのアイデンティティとは、そのクラスを他のクラスと異なる、独自の存在にするものです。そのクラスが何者であるか、何ができるか、どのように見えるか、何が得意で、何が不得意かまで、すべてを網羅します。クラスのアイデンティティを考えるとき、私たちは体験を支える軸となる2つの柱に注目します。力の源と役割です
「力の源」が意味するものとは?
あるクラスの「力の源」について語るとき、私たちは伝承に関連する力の源と、彼らをタムリエルの「普通の」市民と異なる存在とするものに注目します。その時の問いかけは以下のようなものです。「この人物がドラゴンナイト/アルカニスト/ソーサラーになった理由は?」「彼らの動機は?」「どこから力を得ているのか?」 こうした問いに対する答えは、アビリティが彼らの力の源の延長線上にあるものとして、発展していく道筋を特徴付けることに役立ちます。
「役割」が意味するものとは?
「役割」は、「力の源」をさらに一歩進め、キャラクターが力をどのように受け取り、どのように使えるか(効果範囲、時間経過ダメージ、直接ダメージなど)に影響を与えます。力の源を伝達メカニズムに落とし込むことで、そのクラスになった場合の感覚を作り出すことを目指しています。
力の源が異なれば、プレイスタイルも異なります。例えばナイトブレイドは戦闘中、狡猾さと影を頼りにして巧みに姿を隠し、ここぞという時点で攻撃を仕掛けます。一方、テンプラーは聖なる力を利用し、より熱意のこもった直接的な戦闘を行います。
このような違いが、ESOのクラスのそれぞれのアイデンティティを際立たせます。あるクラスが特定の力の伝達メカニズムを持っていて、他のクラスが持っていないのはそのためです。それがより個性的なプレイスタイルを生み出し、より強力なクラスのアイデンティティの混在を確立するのです。
プレイヤー体験への適応
クラスのビジョンや目標を念頭に置くことは常に重要ですが、コミュニティが新しいツールや機能に適応した後で、維持できるようにすることも同じほど重要です。新しいシステムや改善が導入されると、開発は継続的な洗練を必要とする、進行していくプロセスになります。
例えばコミュニティからのフィードバックの中でもかなりの割合を占め、私たちも調査しているのが、サブクラスシステムによるクラスのアイデンティティやゲームバランスとの相互作用です。サブクラスシステムのコアとなる部分は、私たちが確立したクラスのアイデンティティのバージョンと直接競合します。そしてそのアイデンティティの作用を皆さんに委ね、望むものを何でも作れる能力をもたらしました。これは私たちにとって非常に重要な機能ですが、同時に、現在はバランス上の欠点も伴っています。
常に新しいシステムやスキルに順応するコミュニティ
現状ではいくつかの理由から、「純粋」なクラスシステムよりサブクラスシステムのほうが、客観的に見てかなり強くなっています。主な原因は、個々のスキルラインのデザインの大きな違いにあります。ESOは発売当初からサブクラスシステムを念頭に置いて作られたわけではありません。そしてこのシステムは、現在のクラスのスキルラインデザインの問題点を浮き彫りにしました。以前は問題にならなかったものの、今後は成り立たなくなる要因となる問題点です。
ゲームとクラスシステムの全体的な健全性を支えるために、プレイヤーによるサブクラス機能の使用方法に基づいてゲームの変化に対応し、適応する必要があります。このゲーム内のデータとプレイヤーのフィードバック、利用可能な開発リソースで、行うべき変更の範囲をより明確に把握できました。
こうした知見により、私たちはクラスのアイデンティティを再検討することになりました。個々のアビリティやパッシブがどのように表現されデザインされているのか、アビリティの源はどこからきているのか、どのように組み合わさってクラスとしての一貫性やアイデンティティを作り出しているのか、といったことです。
私たちがこの体験を改善させるために前進する中で、皆さんはクラスのスキルラインの再編成、クラスのコアスキルラインへのこだわりに対するメリットを増やし、ロールに特化した力を分散させ、1つのスキルラインで目標達成に必要なツールがすべて揃わないようにしているところを目撃されるでしょう。
しかし、私たちの目的は必ずしも弱体化させることではありません。場合によっては弱体化が必要かもしれませんが、私たちは数値や効果を使って、より強力で目立つもののサブクラスシステムが完全にメタを支配することを防ぐ、より大きなニュアンスを備えたアビリティやパッシブの作成を検討しています。
私たちが目指すものは2つあります。純粋なクラスでプレイしたい方が満足できるクラスのアイデンティティと、目標を達成に必要な力を提供すること。サブクラスシステムに没頭したい方には、自身のアイデンティティを確立する自由を感じさせること。もしくは特化した力のためにアイデンティティを放棄する自由も感じられつつ、純粋なクラスと比べてあまりにも力の差を大きくしないことです。
長期ビジョン
ESOはこの10年で大きく進化し、新しいシステムやクラスが導入されるにつれ、プレイ体験やデザイン哲学の規準も高まりました。
このプロジェクトの一環として、私たちはESOのクラスを現代的にして、互いをより調和させることを目的とした、総体的かつ長期的な計画を構築しました。この計画はアイデンティティ、バランス、外観と雰囲気を単独で扱うにとどまらず、複数のクラスの問題に対処することを目的としています。以下のリストの多くの項目は、私たちが常に達成しようと努めてきたものですが(そしてそれは変わりません)、私たちはESOのクラスを強化し、こうした指針に焦点を当てることに、より多くの時間を費やすことになるでしょう。 私たちの長期ビジョンは以下のとおりです:
- どのクラスも、あらゆるロールが実行できるようにします。私たちにとって実行可能性とは、プレイヤーが提供された選択肢で目標を達成できることです。必ずしも等しく最適という意味ではなく、常に複数の選択肢を提供します。
- 私たちはコアとなるアイデンティティを補強するアビリティ、アニメーション、効果音により、各クラスがその役割と密接につながっていて、忠実であると感じられるようにしたいと思っています。これはアビリティを更新して現代化することで、アルカニストのような最近登場したクラスと同じように、見た目と雰囲気にインパクトがあるものにすることを意味します。
- 私たちはプレイヤーのフィードバックとゲーム内データをクラスのアップデートに役立て、デザイン哲学を進化させることに全力を注ぎます。バランスに関する懸念に対処し、クラスのシステムを更新していく中で、各クラスを際立たせるユニークな雰囲気を維持しつつ、システム的にもテーマ的にも、気持よくプレイできるようにすることを目標にしています。
目標
今回のESOのクラスの更新において、私たちが掲げた長期的なビジョンを支える主な目標は以下の通りです:
- 各クラス独自のアイデンティティを強化し、楽しさとやりがいを感じさせつつ、テーマに沿ったユニークで魅力的なプレイを実現する。
- 純粋なクラスとサブクラスシステムのバランスを改善し、どちらの道もゲーム内に存在するようにする。
- 各クラスのスキルラインをより多様にし、ロールとして提供するものを明確にすることで、何をプレイするかに関係なく、各スキルラインに価値が生まれるようにする。
- ゲーム内のデータとプレイヤーからのフィードバックを参考に、プレイヤーの経験や好みを反映した変更を決定する。
- アビリティやスキルラインにおける異常値に対処し、各クラスに対処しながらバランスの懸念に目を向け、ビジュアルやオーディオのアップデートよりも、数字と機能の変更を優先する。
アイデンティティ
以下に、私たちが想定している各クラスのユニークでハイレベルなアイデンティティと、それがゲームプレイ体験にどのように反映されるかを示します。これがキャラクター作成画面で見られるようになるかもしれません。
コミュニケーションと透明性を促進し、信頼を築くため、アップデートの進行状況を継続してお知らせしていきたいと考えています。この点を踏まえ、私たちがプロセスの初期段階にあること、上記のクラス情報は各クラスへの対応に取り組む中で、まだ変更され、さらに洗練される可能性があることをご承知ください。
展開について
これはいくつかのアップデートにまたがる大規模で包括的な取り組みです。私たちは最も現代化とバランス調整が必要なクラスを優先します。一部のクラスにとっては微調整となり、別のクラスにとってはより徹底した再構成となり、その両方が混在するクラスもあるでしょう。各クラスの作業開始が近づくに伴い、今後の変更について定期的に更新しながら、より詳細に説明します。
クラスには1つずつ対処し、影響力の大きいシステム変更とバランスの変更を行い、必要とされるビジュアルと音声のアップデートも行います。ドラゴンナイトの基本的な役割と必要な変更の範囲を考慮して、このクラスを軸として開始します。クラスごとのアップデートはゲームの継続的なサポートと並行して行われ、スケジュールは必要に応じて変更される可能性があります。
現在の順番は、進行時の必要性に基づき変更される可能性があります:
- ドラゴンナイト
- ウォーデン
- ソーサラー
- テンプラー
- ナイトブレイド
- ネクロマンサー
- アルカニスト
また、定期的な不具合修正やパフォーマンスのアップデートも通常通り行っていきます。私たちの目標は、プレイヤーが現在持っている相対的な力のレベルを保つことであり、今後も無理のない範囲で維持するよう努力します。アビリティラインの更新とサブクラスのバランス以外、大きなバランス変更には注力しませんが、フィードバックを注視し、必要に応じてゲームプレイの他の側面に関するバランス値の調整を継続します。私たちは現在、純粋なクラスとサブクラスシステムの両方に関するコミュニティの長年の懸念を短期的に緩和する方法と、より広範で根本的な問題とフィードバックへの対応を検討しています。
変更の例
例を挙げて説明するのは、より理解いただくための優れた方法です。すでにお知らせしたとおりドラゴンナイトから着手することになりますが、すでに内部でアビリティ、ビジュアル、アニメーションに対する全般的な調整が進められています。
ドラゴンナイトクラスの更新が進行中
以下に前述した微調整と、再構成に入る比較的大規模な調整を取り上げ、デザインのプロセスとそれがビジョンにどう適合するかについて、簡単にご説明します。
洗練
ドラゴンナイトは消耗戦用の戦士です。この体験を再構築する調整を多数行う予定です。例えば持続時間の短縮、1ティックあたりのダメージ上昇、戦闘中にパワーを蓄積させる段階的な効果など、独自の時間経過ダメージパラメーターなどです。別の改善は、大いなる大地の新パッシブ「雪崩」です。これは戦闘中に蓄積されたダメージボーナスで、ゆっくり勢いを高められますが、プレッシャーを維持できなければ失われます。
再構築
ドラゴンナイトの炎は貪欲で、燃料を要求とします。ドラゴンナイトは慎重なリソース管理を必要とするようにデザインされており、その炎は常に燃料を必要としているように感じられます。これはクラスのバランス調整にも役立っており、相手より長く生き延びようとするだけで長期戦に勝ててしまう状況を防いでいます。私たちはこのデザイン哲学を今でも信じていますが、その一方でクラスキットの中にこうした問題を解決する、より満足のいく方法を組み込もうともしています。例えば、再調整された吸入は熾烈なる炎に移行し、爆発を放つ前に失われたリソースの一定割合を、時間経過により短時間回復するようになります。
進行中の計画
クラスはゲームの中核をなすもので、私たちはこの取り組みに全力を注いでいます。私たちは今後の取り組みに向け、喜びと活力に満ちています。進展に伴い、皆さんにさらなる情報をお届けするのがとても楽しみです。私たちは、コミュニティの皆さんに取り組みの内容を定期的にお知らせすることを目標としています。また各クラスの詳細や改善点については、より明確になり次第お伝えします。
サブクラスシステム、純粋なクラス、ハイブリッド化、全体的なバランス、その他の戦闘関連スキルなどが何を意味するのか、皆さんの多くが疑問を持っていることでしょう。
今回のお知らせの一環として、12月4日(木)14:30ET(翌日付03:30)からESOライブを開催してコミュニティからの質問にお答えし、その後FAQドキュメントで補足する予定です。
新年早々には、これらの改善点など、さらに詳しくお伝えする予定ですので、どうぞご期待ください。


