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開発者メッセージ アイテムセット パート1

開発者へのインタビューで、ESOのアイテムセット制作の裏側を覗きましょう!

今回、私たちはESOコンバットデザイナーのNadav Pechtholdに話を聞く機会に恵まれました。ESOに数多く存在するアイテムセット制作のプロセスを、深く掘り下げたいと思います。

10年におよぶESOの歴史の中で、優に650を超えるユニークなアイテムセットがゲームに追加され、さらなるカスタマイズやビルドの完成を可能にしてきました。パート1ではアイテムセットの基本、デザインの手法、制作にかかわるチームについて話を聞きます。アイテムセットのバランスやリリース後のサポートについて詳しく解説するパート2は、数週間以内に公開予定ですのでどうぞお見逃しなく。

 

アイテムセットの基本

 

来てくれてありがとう、Nadav! まずは基本から行きましょう。ESOのアイテムセットとは何でしょう?

Nadav:ESOでは、武器、宝飾品、防具を発見し、装備することでキャラクターの能力が上昇します。こうしたアイテムは被ダメージの軽減やリソースの回復、与ダメージに影響を与えます。

その中にはセットの一部になっているアイテムもあります。同じセットのアイテムを2つ以上集めて装備すると、追加効果が得られます。アイテムセットにはそれぞれ上限があり、最大まで装備するとそれ以降の追加効果はありませんが、最終的に獲得する恩恵は大きくなります。

多くの場合、アイテムセットは5ピースで構成されていますが、完成させるのにより多いピースが必要なセットもあれば、それより少ないピースで済むセットもあります。

 

プレイヤーにとって、全体的な能力の上昇以外にアイテムセットが重要な理由は何ですか?

Nadav:アイテムセットはプレイヤーの能力を上昇させますが、それだけでなく、異なるタイプの力も提供します。さまざまな方法で、体験をカスタマイズできます。

クラスや種族、武器の選択を越えて、異なるプレイスタイルの機会がアイテムセットによって得られます。遠距離攻撃でも近接攻撃でも、使うのがマジカでもスタミナでも、役割がDPSでもヒーラーでも、タンクでも。

アイテムセットの中には、「怒れるフンディング」のように生活を楽にするものも、プレイスタイルを強化するものもあります。他には特定のギャップを埋め、現在は苦手としているものを支援するものがあるかもしれませんね。


ESOで作成し、見つけられるアイテムセット

開発者として、アイテムセットをどのように分類していますか?

Nadav:アイテムセットはゲーム内の大きな領域をカバーしていますが、ほとんどが戦闘に焦点を合わせていると言ってもいいでしょうね。利便性を高めるもの、戦闘の内外で役立つものもありますが、少数派です。

ゲーム内にセットはたくさんありますが、複雑さによっても分類できます。たとえば、装備さえすれば恩恵が得られるとてもシンプルなアイテムセットがある一方で、もっと微妙で何らかの行動を要求し、その時の状況によって効果を発揮するようなものもあります。

 

利便性やロールプレイのチャンスを提供するアイテムセットもあるということですね?

Nadav:そうです! 最新の秘術アイテムに「影の女王の頭巾」というのがあるんですが、これには本当にわくわくしました。

純粋に戦闘だけに注力する秘術アイテムにはしたくなかったので、システムチームと緊密に連携しながら作業を行いました。これはノクターナルと盗賊ギルドを賞賛するアイテムで、身を潜めることが重要なテーマです。かがんでいる間は、スリの対象を壁越しに見られるんですよ。

 

コンバット以外のチームはどんな形でアイテムセットに関わるんですか?

Nadav:アイテムセットはシステムとして常に存在していますが、継続的に新しいコンテンツも作成する必要があります。その結果、重要な役割を持つのはコンバットチームだけではなく、システム、アート、コンテンツ、エンジニアリングなど、他の開発チームもアイテムセットに影響を与えます。

たとえば、新しいものと既存のアイテムセットをサポートするための作業の多くはシステムチームが行います。これにはアイテムの入手方法や、入手機会、入手場所などが含まれます。

デザインとプロトタイプ

 

アイテムセット制作で最初に着手するのは何ですか? 

Nadav:ESOのコンテンツアップデートが前提にあるので、アイテムセットの計画に関して意外性はあまりありません。ダンジョンDLCがあれば各ダンジョンに対応するセットが必要ですし、チャプターやゾーンDLCがあれば、陸上用やクラフトされたセットが必要になることがわかっています。

なので、最初のステップはシンプルに新しいアップデートがどんなものかを把握することです。その後、コンバットチームはデザイナーやエンジニアといった他の人たちと一緒に、主にブレインストーミングをする会議を何回か行います。

 

通常、コンバットチームはどこからインスピレーションを得ますか? 

Nadav:ほとんどの場合、インスピレーションはコンテンツそのものから得られます。ですからダンジョンだったら、それを通してプレイし、どのモンスター、システム、テーマが活用できるか考えるんです。

また、他のゲームではあまり見られないけれども取り入れたいプレイスタイルについても検討しますし、過去に話し合ったアイデアのリストも活用します。そうしたアイデアに磨きをかけて、扱いやすい形に落とし込むんです。それから、コンバットチーム以外の人たちの視点もとても重要ですね。

 

システムデザイナーやエンジニアの、新しいアイテムセットに対する異なる視点とはどういったものですか?

Nadav:システムデザイナーには新しいセットがどのように経済に関わるか聞かれます。一方で、エンジニアは新しいセットをサポートする技術が存在するかどうか、それがゲームのパフォーマンスに害を及ぼさないかどうかを知りたがるでしょう。

 

なるほど! シロディールのように人の多い場所で、同じアイテムセットが同時に発動したら困りますからね。

Nadav:そうなんです。アイテムセットは他のものに比べて高性能ですから、シロディールやバトルグラウンドなどのようにプレイヤーがたくさんいるゾーンで問題を起こさないよう、注意深く観察しなければなりません。

 

種類が豊富なアイテムセットですが、特にデザインが難しかったものはありますか?

Nadav:クラスセットは、システムもテーマも特定のクラスおよびスキルラインと結びついていなくてはならないので、通常は他のタイプのセットより難しい仕事になります。デザインの範囲が狭くなり、各セットに対して作れるアビリティが限定されますから。


クラスセットがもたらす恩恵は強力だが限定されている

他にもアイテムセットのデザインをチェックする人はいますか? 

Nadav:ステークホルダーと呼ばれるシニアやリードのグループです。彼らにリストを渡し、最終的な承認を依頼します。

時にアイデアは気に入ってもらえても、いくつか変更を求められることもあります。そうしたら、最終的な製品のリストができるまでブレインストーミンググループと彼らとの間でやりとりをします。

場合によっては、必要とされる数以上に承認をもらえることがあります。その時は、今後のアップデートのためにアイデアを取っておきます。

 

それでやっと新しいアイテムセットのビルドに着手できるんですね?

Nadav:そうです! 承認が下りたらすぐ試作に取り掛かります。ゲーム内のあらゆるものを作る社内ツールを使って、できるだけ早くプロトタイプを作り、チームに渡して速やかに対処すべき穴を見つけてもらいます。

 

プロトタイプの制作時に、既存のアイテムや効果は使いますか?

Nadav:はい。通常は、既存のものを自分の希望に近くなるように修正します。たとえば、6メートルの効果が欲しかったら、既存のものからそのサイズのものを探してテストします。

そういう訳で、初期のプロトタイプはアーティストへ渡す前に仮のアートで作ります。アーティストに作ったものを変更してもらうより、自分たちで仮のアートを修正するほうがずっと楽ですからね。

 

セットのビルド

 

コンバットチームがプロトタイプを完成させた後はどうなりますか?

Nadav:問題がすべて解決したら、さらにチームをまとめてセットの製作に入ります。

プレイヤーが接触する「物理的」なアイテムをシステムチームが作ります。つまり特性や付呪がついた武器、防具、宝飾品と、適切な敵を倒したときにアイテムを出現させるドロップテーブル、クラフト台の設定です。その後はさまざまなアーティストにも参加してもらって、セット独自のビジュアルや効果音を作ってもらいます。

 

アイテムセットの効果を作る際のプロセスを教えてください。

Nadav:技術的な面でアーティストの代弁はできませんが、通常は私たちもアイテムセットのシステムや関連するコンテンツを基にした、ビジュアルのアイデアを持っています。

プロトタイプの制作時には、すでにある仮の効果を使って理想の感触の再現を可能な限り試みます。その後、土台として使ってもらうためにその仮の効果をアーティストに渡し、理想とするビジュアルについても説明します。

完成したら私たちのクレヨン描きの絵を削除して、代わりに傑作を配置します。

時には参考にする具体的なビジュアルがある場合もあります。あるいは、「クールにしてください」と頼むだけの時もあります。それから制作に取り掛かってもらいます。アーティストたちが納得できる作品が仕上がったら、他のプロセスと同様にアートとコンバットチームが一緒にレビューします。変更を繰り返し、プレイヤーの目に触れる頃には最高にクールなビジュアルになっているんです。

 

アイテムセットにとって、特徴的なビジュアルやサウンドが重要なのはなぜですか?

Nadav:それにはさまざまな答えがあり、そのどれもが正解です。基本的にPvEでもPvPでも、チームベースのコンテンツでは、アイテムセットが識別可能でなければなりません。自分とチームメイトが同時に装備していたらうまく機能しないアイテムセットもありますが、敵が使っているセットも識別して対応できるようにしないといけませんからね。

また、ほとんどのセットのビジュアルとサウンドは内容を表現しています。たとえば、「レッドマウンテン」というセットは敵に向かって火の球を放ち、「疫病の運び手」はスキーヴァーの死体を出現させ、毒の球を放ちます。この2つは同じような挙動ですが、ダメージタイプが異なり、語るストーリーも全く異なっています。

 

アートとシステムチームがプロセスに関与した後はどうなりますか?

Nadav:アートとシステムが動き始めたら、私たちはエンジニアのところに戻り、作成したアイテムを全部見てもらって、すべてが可能な限り高品質であることを確認します。

彼らは私たちの成果を事細かに評価し、時には「このパーツ、動かしてくれないかな? この数値、変えられる? そうしたらアイテムの挙動が少しよくなると思う」みたいなことを言われます。

時には、以前話し合ったセットをより効率的にする、新しい技術について教えてくれることもあります。


モンスターセットに必要なアイテムはたった2つです

ライティングチームやコンテンツチームが関わるのはいつですか?

Nadav:アートチームが最後の効果に取り掛かり、エンジニアの同意が得られ、システムチームがアイテムを制作したら、編集や伝承のチームと話し始めます。

新しいセットを作るときはいつもコンテンツについて考えていますが、伝承チームが持つような専門知識はありません。そこで、セットとコンテンツのテーマに適した名前を伝承チームが考えてくれるのです。

私はロアマスターの知識を信頼していますから、名前に矛盾があるような場合を除いて差し戻すことはありません。たとえば他のアイテムセットや既存の何かの名前によく似ているか、セットの機能に対して正確ではないニュアンスが感じられる名前でなければ、却下はしません。

 

QAチームはアイテムセットの制作にどのように貢献しますか?

Nadav:QAチームはかなり大きいパートを受け持っています。ただ各アイテムセットの不具合を探すだけでなく、プレイヤーになりきってテストも行います。

彼らは初期のプロトタイプを受け取った段階でPvEとPvPのプレイテストを行い、強さのレベルやアイテムの感触についてフィードバックを提供してくれます。

 

ESOのアイテムセットのビルドには村一つ分の人数が必要なのは明らかなようです。今回のパート1は、開発を探る旅の入口にすぎません。数週間後に公開予定のパート2では、アイテムセットが内部でどのようにバランス調整されているか、リリース後にチームがどのように評価し、アップデートするかといった内容について詳しくご説明します。

ESOでアイテムセットが開発される流れについて、理解が深まったでしょうか? 皆さんの現在のプレイスタイルには、主力となるセットはありますか?

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