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Developer Deep Dive:タムリエルのボスのデザインについて(Part 1)

今回のDeep DiveシリーズPart 1では、エルダー・スクロールズ・オンラインの開発チームが、タムリエルの手強いボスをどのようにデザインしたかについて詳しくご紹介します。

超越の潮(Ascending Tide)のリリースを記念し、リードエンカウンターデザイナーのMike FinniganとシニアコンテンツデザイナーのShane Slamaに、ESOのダンジョンと試練に登場するボスのデザインや制作に関する工程と知識についてお伺いしました。
まずは、チームの理念とデザインの核となる要素、そして開始から完成に至るまでの工程の全容について掘り下げましょう。

ESOコミュニティに仕事内容を紹介するお時間を作って頂きありがとうございます!
はじめに、ダンジョンや試練のボスをデザインする際の核となる基本理念があればお聞かせください。


Mike Finnigan:はい!新しいボスをデザインする際、私たちが常に心掛けている核となる理念がいくつかあります。その中でも大切なのは、ESOのゲームプレイにおける傑出した要素を強化することです。
例えば、ボスは移動が重要で、チームが攻撃を仕掛けているのにボスが止まっているようではいけません。
プレイヤーには動き回って、機会があれば常に妨害やブロック、回避ロールなどを駆使してもらいたいと考えています。



ESOのボス戦では移動が重要な鍵となります

Shane Slama:ストーリーや設定に関する要素も重要な理念の一つだと考えています。
私たちが伝えようとしているストーリーを表現しながら、冒険の一部としてモンスターやボスが全体にうまく溶け込むようにしています。

Mike Finnigan:そうですね。
ダンジョンで展開されるストーリーからすべてが始まり、デザインするボスの特徴や戦闘方法などのあらゆる要素がそこから生まれます。

一般的に、個々のデザイナーはダンジョンや試練のボスにおけるどの要素を開発しているんですか?

Shane Slama:私たちは、モンスターが使用するアビリティセットだけでなく、モンスターが環境とインタラクトする方法もデザインします。
例えば、その空間内でどのように移動するか、あるいは他の環境要素を手に取ったり、そこへ行ったり、その周りを動き回ったりすることができるのかなどを決める必要があります。

Mike Finnigan:空間をデザインすることもあります。
デザイナーはワールドビルダーと協力し、ボスのデザインに適した空間も作り上げています。
私たちが作っているのはボスだけではなく、バトルそのものだと表現する方が正しいでしょう。
ボスがいる環境と、そのシーンの一部となる他のすべての要素を総合的に作成しています。

Shane Slama:その通りです。
私たちが構築しているのは体験で、ボスは空間に宿り、空間はボスに宿るものです。適切に行われれば、両者はうまく融合されます。

また、空間に足を踏み入れた際にも、そこで繰り広げられる戦いの要素を取り入れることにしています。
印象に残りやすく、その戦闘やロケーションの雰囲気を提示するため、重要な設定であると言えます。
例えば白金の塔の頂上では、危険な状況を作り出すために爆発の後に周囲が稲妻で囲まれるのですが、戦闘中プレイヤーに対してボスが積極的にそれを使用してくるんです。



さまざまな戦闘方法を持ったボスが登場します!

私たちがデザインしているのは、レベルや環境、ボスの行動、そして他のモンスターに至るまで、まさに全体像なのです。
時にそれは、プレイヤーにどのような体験を提供できるかということに焦点を置いて行われます。
プレイヤーの想像を超えるものとは何か?
彼らは環境を使いこなすことができるのか?これらがすべてに影響します。

これらの点をすべて念頭に入れたところで、ESOのボスを作成する際の工程を段階的に教えてください。

Mike Finnigan:まず、どのようなモンスターやキャラクターを使用するかを考え出すところから始まります。
通常は、テーマを網羅して常にストーリーにうまく溶け込むボスを作成するために、ゾーンやダンジョンの設計書が提案されます。
そして、そこから先はデザイナーに引き継がれます。

Shane Slama:ダンジョンと提案されたモンスターの概要を示す設計書を受け取った後、デザイナーは提案されたモンスターのままで進行することもありますし、「違うアイデアがあるから、この方向で行きたい」と言い、ストーリーに沿ったものである限りは別のモンスターを使うこともあります。

Mike Finnigan:そうですね。ストーリーの要素に一致しているのであれば、ボスの表現方法はデザイナーに委ねています。
中にはアビリティを決定する上での羅針とするために、キャラクターの背景設定を先に済ませることを好むデザイナーもいますし、一方であるメカニクスに面白みがある考え、ストーリーの味付けは後で行うデザイナーもいます。
つまり、ボスを作り上げる手法や順番はデザイナーによって異なります。

Shane Slama:デザイナーはこの時点でアビリティを構築し、戦闘デザインに関する設計書を作成します。
そして、主にアニメーションや視覚効果、そしてオーディオなどの各デザインチームにそれを提出し、作成するにあたっていくら費用が掛かるのかがデザイナーに伝えられ、一緒に調整していきます。
実現可能範囲内で制作側から良いと思うアイデアが送られてきたら、デザイナーはプロトタイプの作成に進みます。
そして、初めてのロケーションテストを行い、微調整に取り掛かります。

この工程の中で、ボスのデザイナーはライターとコンテンツデザイナーと連携を取り、ボスがダンジョンのストーリーテリングとクエストラインにうまく溶け込んでいるかを確認します。



ダンジョンと試練のボスはストーリーを伝える役割を担います

こうすることで、デザイナーは制作途中のアイデアがどう機能するかについてある程度の感触が得られ、この反復工程の継続を可能にする土台が整います。
この時に環境と芸術が加えられ始め、すべてが一つにまとめらます。

また、デザイナーがこの工程を繰り返してバランステストの準備している間、最初から最後までを通したロケーションテストと数多くの品質保証が行われます。
最後に、デザイナーは不具合修正に取り掛かって調整を始め、ボスがパブリックテストサーバーとサイクルに間に合うように準備をします。

この工程の中で、共同で制作するということはどれほど重要なのでしょうか?

Mike Finnigan:どんなボス戦をデザインする場合でも、共同での制作は欠かせません。
最初に体験を構築するのはデザイナーですが、先ほども述べたようにアニメーションや視覚効果、オーディオ、ワールドビルディングの各チームと相談しながら、ビジョン全体は実現可能か、そしてそれぞれのチームの納期内に収まるかを調整します。

その際、チームのコンテンツデザイナーとライターデザイナーの連携も重要で、すべてのストーリービートを正しい方向に進める必要があります。
最初にプロトタイプを完成させたら、品質保証部門及びデザイナーによるテストを行い、何よりもまず楽しい体験が提供できるということを確実にします。
多くの場合、ボス戦を「際立たせる 」ようにデザインの初期段階で調整や微調整を行います。
また、どのメカニクスをどのように利用するべきかを把握することも大切です。

ESOでダンジョンや試練のボスの作成には本当にたくさんの工程がありますが、今回ご紹介したのはまだほんの一部です!
デザイナーがボスのメカニクスを作成する方法や、その工程で直面する課題についてはまもなくお伝えする予定のため、こちらに掲載されるPart 2をお楽しみに。
今回のDeep Diveをお楽しみいただけた場合は、皆さまお気に入りのESOでのボス戦をTwitterでお知らせください!

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