アイレン女王は聡明で高潔であり、彼女の種族には珍しく謙虚さも備えている。その一方でリーダーとして決断力を持ち、決めたことは曲げない。彼女は28才であり、ハイエルフとしては若年だが、人生の前半の大部分はタムリエルの陸地や海洋を放浪して過ごし、教育機関では学べない知恵を身に付けてきた。彼女は父の死後、サマーセットへ戻り、アルトマーの王位の後継者としての立場を受け入れた。
帝都がモラグ・バルを支持する者らによって陥落したことを知ると、サマーセットのハイエルフたちはアルドメリ・ドミニオンを結成した。ハイエルフは隣接する地域のウッドエルフとカジートに協力を求めた。彼らが手を組むことで、かつて何度もしてきたように、タムリエルの未熟な多種族が世界を破滅にもたらすのを阻止できると訴えかけたのだ。
ハイエルフはタムリエルの最初の開拓者であり、現在この大陸で使用されている共通語を産みだしたのも彼らである。また彼らは生来魔法に長けている。
ウッドエルフは、立ち入ることが困難なほど木々が深く生い茂るヴァレンウッドの森に住む。彼らの狩りと案内の腕は一級品で、隠密行動や盗みが得意だ。そして、弓矢の扱いで彼らの右に出るものはいない。
カジートは誇り高き猫の種族で、勇猛な戦士であり、刀剣の扱いに熟練している。彼らは戦いになると堂々と前列に立つ。
アルドメリ・ドミニオンの力と決意は、決してあなどれない。
ハイエルフはアルトマーとも呼ばれ、数千年前に古アルドメリスからタムリエルに渡来した。彼らは自分たちがタムリエルの統治者にふさわしい種族であると考えているが、その考えもあるいは一理あるのかもしれない。彼らは非常に文化の発達した種族だ。息を飲むような建築物を建て、巨大な図書館には数々の歴史書や文学書が並ぶ。外界と関わることは好まず、主にサマーセット諸島に留まり、祖国を脅かす危険を察知したときにだけ出没する。彼らは強力な魔術師や戦士となることが多く、アルドメリ・ドミニオンの実質上のリーダーたちである。
ウッドエルフはボズマーとも呼ばれ、好奇心が強くいたずら好きで、身のこなしが軽い。彼らはヴァレンウッドを故郷とするが、コロヴィアン帝国に攻撃されることが多いため、防衛戦に関しては熟達している。また弓矢の扱いに長け、タムリエルでも抜群の射手を輩出する。アルドメリ・ドミニオンの首都であるエルデンルートは、ウッドエルフたちの故郷の中心にある。この都市はタムリエルの支配を巡る戦いで重要な戦略的拠点なため、政治的にも文化的にも重要な都市へと成長した。
誇り高き猫族のカジートは、「ナハテンの流感」と呼ばれる疫病で壊滅的な被害を受け、近年は人口が減少してしまった。その時にハイエルフの女王アイレンが彼らの復興を援助したため、彼らはアイレンに多大な恩義を感じている。彼らは皮肉っぽいユーモアを持ち、快楽主義的な考え方をするが、戦場では猛然と戦う。カジートはアルドメリ・ドミニオンを支える強力な右腕である。
ダガーフォール・カバナントは第二帝国の復活が目的で、それによって安定した統治が確立できると考えている。我々も彼らの目的に協力したいところだ。その統治する役目が我々のものであるならばだが。彼らは誤った思想に取り憑かれており、危険な存在だ。
エボンハート・パクトがもし積年のいがみ合いを忘れて真に団結することがあれば、我々にとって非常に由々しき事態となるだろう。だが現時点では彼らは分裂しており、我々に長く抵抗し続けることはできないだろう。